アルコールによる肝臓病(脂肪肝・肝炎・肝硬変)

過度の飲酒が長年の生活習慣となっていると、そうでない人に比べて肝臓病のリスクが高くなることは、従来から知られていました。実際、ワインの飲用が習慣となっているフランス、スペイン、イタリア、ドイツなどでは国民一人当たりのアルコール摂取量が多く、同日に肝硬変による死亡率も高くなっています。一方、アルコール消費量の少ないのノルウェーなどの国では、肝硬変による死亡率は軒並み低い状態にあります。これらの統計から、アルコール消費量と肝硬変の死亡率は強い相関関係にあると考えられています。

休肝日をつくりましょう

常習的な飲酒(日本酒に換算して3合以上の飲酒を5年以上続けた状態)があると、次に挙げるようなアルコール性肝障害が起こります。

アルコール性脂肪感
肝細胞に中性脂肪が過剰に貯まった状態を「脂肪肝」といいます。飲酒をストップすれば肝臓は健康な状態に戻るので、肝障害としては比較的軽度の部類に入ります。自覚症状に乏しく、疲労感や食欲不振などを訴える患者さんもいますが。これらは脂肪肝以外の肝臓病にも見られます。脂肪肝が直接、肝硬変になることはないと考えられていますが、脂肪肝になるような飲酒習慣を続けていると肝線維症やアルコール性肝炎などを合併し、肝硬変を起こすリスクもあります。

アルコール性肝線維症
肝細胞や中心静脈の周囲に線維が多くなった状態です。次に挙げるアルコール性肝炎と異なり、肝細胞の変性や壊死はあまり起こりません。欧米諸国では、脂肪肝やアルコール性肝炎の患者さんが多いのに対して、日本ではアルコール性肝線維症の患者さんが多いという特徴があります。肝線維症は、進行具合が軽度であれば、禁酒することで線維が吸収されて、元の健康な状態の肝臓を取り戻すことができます。進行している場合も、ある程度は禁酒により回復は可能です。

アルコール性肝炎
常習飲酒者が、さらに飲酒量が増えると、重い肝障害を起こすことがあります。これがアルコール性肝炎と呼ばれる病気で、症状としては、食欲不振、全身倦怠感、黄疸、発熱、嘔吐、腹痛、下痢などが起こります。肝臓の組織のかなりの部分が編成、壊死を起こしています。アルコール性肝炎の患者さんは、すでに脂肪肝、肝線維症など、下地に肝障害を起こしていることが多く、病気の程度は既存の病気の状態に左右されます。

アルコール性肝硬変
常習飲酒による肝障害の状態が長く続くと、肝硬変(肝細胞が硬くなって肝機能が低下する病気)を発症します。患者さんの肝臓を見ると、ウイルス性の肝硬変と同様に、再生結節(再生された肝細胞を取り囲むように線維化が進行したもの)ができますが、その結節がウイルス性の肝硬変よりも、小さくて線維の幅が薄いのが特徴です。アルコール性肝硬変が進行すると、肝機能は徐々に低下していきます。

肝臓の異常は、血液検査(GOT、GPT、γ-GTPなど)、ウイルス検査(A型・B型・C型ウイルスの抗体や抗原を調べる)、超音波やCTなどの画像診断、腹腔鏡検査や肝生検などの検査を実施して調べます。これらの検査でアルコール性肝障害と診断された場合でも、飲酒を止めれば症状は改善されます。

飲酒が必ず肝障害を起こすわけではなく、その量が問題となります。肝障害を予防するために重要となるのは、一定期間内の飲酒量のトータルを減らすことです。「休肝日」といって、週に1日か2日はお酒を飲まない日を設けている方も少なくありませんが、明日は休肝日だから今日はたくさん飲む、ということでは意味がありません。生活全体の中での飲酒量を減らす必要があるのです。

少量のお酒で顔が赤くなる人は、酒量の安全域が一般の人よりも低いため、平均飲酒量が少なくても肝障害を起こしやすく、しかも重い肝障害を起こしやすいという傾向があります。また女性は男性よりも少ない酒量、短い期間で肝障害を起こしやすいので注意しましょう。