肝硬変:肝細胞が硬くなって肝機能が低下する病気

肝臓の炎症が何度も繰り返されるなかで、修復しようとする再生や線維化が進んだたために肝臓が委縮し、代謝、解毒、胆汁の生成・分泌といった肝臓の機能が損なわれてしまう病気を「肝硬変」といいます。肝臓が線維化して硬くなると、肝臓の血液の循環が悪くなり、腸などから門脈という血管を介して流れてくる血液も肝臓に流れにくくなってしまいます。そのため、肝臓に十分な血液が行き届かなくなり、肝細胞は障害され、線維化がさらに進行するという悪循環に陥ります。

肝機能の低下

肝硬変の原因の大部分は、肝炎ウイルス、アルコールの過剰摂取で、日本人は肝炎ウイルスによるものが70%、アルコールによるものが20%、その他自己免疫疾患などによるものが10%、と考えられてきました。しかし、C型肝炎ウイルス(HCV)の抗体検査が可能になった90年代になると、アルコールが原因で肝硬変になったとされる人の約半数は、実はC型肝炎ウイルスに感染していたということがわかったのです。

つまり、お酒の飲みすぎだけで肝硬変になったのではなく、C型肝炎ウイルスに感染した人がお酒を飲みすぎて、肝炎、肝硬変を起こすケースが多いのです。また、数は少ないものの、本来外敵に向かう免疫機能が誤って、自分の肝細胞を破壊してしまう自己免疫疾患による肝硬変も見られます。

通常、肝硬変は慢性肝炎から何年もかけてゆっくりと進行するため、初期の段階でははっきりとした自覚症状はありません。ただし、全身の倦怠感、食欲不振、腹部の膨満感などの症状があることに気付く場合もあります。自覚症状の乏しい段階のものを「代償性肝硬変」、はっきりとした症状が出てきたものを「代償性肝硬変」といいます。

代償性肝硬変では、線維化が進行しても残っている肝細胞が代わりに機能しているので、初期の段階では自覚症状はほとんどありません。しかし、進行していくと、肝細胞が不足して全体的に肝機能が低下し、自覚症状が現れるようになります。具体的には、胸部に、クモの形をした血管が浮き出して見える「クモ状血管」や、手の親指の付け根の部分が赤くなる「手掌紅斑」、肝機能の低下で女性ホルモンが分解できなくなって男性の乳房が膨らむ「女性化乳房」などが現れます。これらの症状が出たら、肝硬変を疑って、医師の診察を受けましょう。

肝硬変が進行して、非代償性肝硬変の段階に入ると、様々な合併症が現れてきます。この段階になると、肝臓の重要な働きの一つである「解毒」作用、身体に必要なタンパク質を合成するという働きが十分にできなくなるため。黄疸や腹水などの症状がでたり、肝性脳症や食道静脈瘤などの合併症が起こってきます。

黄疸は、皮膚や白目の部分が黄色く変色する症状です。黄色く変色するのは、肝臓で生成された胆汁が、正常に流れなくなるため、胆汁の中に排出されるビリルビンという黄色い色素が血液中に流れ出るためです。腹水は、水分が溜まって腹が膨らむ症状です。これは肝臓で生成されるアルブミン(タンパクの一種)が減少することや、門脈の血管系から血液の水分が漏れ出すことが原因です。

肝性脳症は、肝臓の代謝作用や解毒作用が十分に行われないため、アンモニアなどの毒素が血液に入って、脳に運ばれて意識障害を起こすもので、肝硬変による見られる合併症です。ほかに合併症として気をつけたいのが、食道静脈瘤です。これは、肝硬変で肝臓内の血流が悪くなり、肝臓を通る血液がバイパスを通じて、食道静脈に至り、コブを作るものです。コブが破裂すると大出血を起こし生命を左右する事態になりかねません。