急性肝炎の感染ルートと検査方法

肝炎ウイルスの感染や薬剤、アルコールの過剰摂取などによって、肝細胞の一部が急激に破壊されて、完全に炎症が起こる病変を「急性肝炎」といいます。なかでも原因として最も多いのは、肝炎ウイルスの感染です。

ウイルスの抗体を調べます

ウイルスに感染して、一定の潜伏期間を経た後に、発熱、全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、下痢、茶褐色の尿が出る、などの症状が3日~1週間ほど続いた後、肝細胞の破壊程度を示すGOT、GPTの数値が異常値を示し、黄疸が現れます。

これらの症状は、ウイルスが肝臓を直接障害して起こるのではなく、ウイルスを退治しようと免疫機能が働いて、ウイルスに感染した肝細胞もろとも攻撃するために、炎症が起こることが原因です。

A型、B型、C型の、どの肝炎ウイルスによる急性肝炎もこれらの症状に大きな差は見られませんが、比較的症状が強いのは、A型肝炎で、発症者の多くに黄疸や発熱、食欲不振が現れます。一方、自覚症状に乏しいのはC型肝炎で、風邪と勘違いする人も少なくありません。子供と成人を比較すると、成人の方が異物を排除する免疫機能が成熟していて、ウイルスが感染した肝細胞により激しく攻撃するので、症状が重くなりがちです。

ウイルスに感染してから、肝臓内にウイルスが増殖し、肝炎を発症するまでの期間を潜伏期間といいます。潜伏期間は、ウイルスによって異なり、A型肝炎では約1か月ですが、B型肝炎は約2か月、C型肝炎は、3週間~3か月程度です。潜伏期間中には、血液や糞便中にウイルスが排出されるので、感染源になる恐れがあります。

食べ物や飲み物で経口感染するA型肝炎ウイルスは、最初に腸管に感染し、肝臓に運ばれます。肝臓で増殖したウイルスは、胆汁に運ばれて再び腸を通って、糞便中に排泄されます。そのウイルスの汚染された食べ物(カキなど)や飲み水にを摂取すると、新たな感染が起こります。上下水道システムが整備されていない、開発途上国への旅行での感染に注意が必要です。

急性肝炎を発症した場合、それがA型によるものかどうかを確定するためには、血液中のA型肝炎ウイルスに対する「IgM型抗体」検査が必要です。A型肝炎ウイルスが体内に侵入したとき、ウイルスを排除するために、抗体(免疫グロブリン)がつくられます。

抗体にはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEという5つの種類があるのですが、最初に作られるのが、IgM型の抗体です。この抗体は、数か月のうちに消失するので、この抗体があれば最近感染したと判断できるのです。さらにIgM型抗体の出現途中から、IgG型抗体という、生涯消えることのない抗体が出現します。このIgG型のA型肝炎ウイルスに対する抗体があれば、生涯にわたって再びA型肝炎を発症することはありません。