肝臓病の主な原因はウイルス感染

肝臓は体内に入った三大栄養素(糖質、たんぱく質、脂肪)を分解・貯蔵したり、有害物質の分解、各種ビタミンの活性化、血液の備蓄といった多くの働きを担っています。つまり、肝臓が不調になると全身に様々な障害が現れることになります。

脂肪肝

肝臓病の代表が肝臓に炎症が起きる「肝炎」です。以前はアルコールの大量摂取が肝炎の原因と言われてきましたが、現在、多くが肝炎ウイルスの感染によって発症することがわかってきました。主な肝炎ウイルスはA型からE型まであり、日本人に多く見られるのはA型、B型、C型です。

A型肝炎ウイルス(HAV)は、ウイルスに汚染された飲食物の経口摂取によって感染します。生の魚介類を食べることで感染することが多く、下水道が井戸水に混入しやすい開発途上国への旅行者は特に注意が必要です。発熱、吐き気、全身の倦怠感などの症状がハッキリと現れますが、一過性で慢性化することはないので、あまり心配はいりません。

B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)は、汚染された血液の輸血、血液製剤の使用、注射器の使い回しなどで感染しますが、ウイルスの検査精度が高い日本ではこれらの感染ルートは心配ありません。近年ではセックスで感染する、いわゆる性感染症(STD)としてのB型肝炎が増えています。またB型の場合は母子感染も見られます。

A型に比較して、B・C型は症状が軽いため、感染自体に気が付かないケースも多いのですが、そのまま放置していると慢性肝炎になることがあります。慢性肝炎は10年以上の年月をかけながら肝硬変、肝臓がんへと移行することがあるので注意が必要です。

A型肝炎ウイルス(HAV)
見ず、食べ物で経口感染します。発症1週間前から発熱、身体がだるい、食欲がないなどの症状が現れます。発病すると高熱、嘔吐、下痢、黄疸などが見られます。急性のみで、キャリアにも慢性にもなりません。アフリカや東南アジア等を旅行する際は、水道水や生ガキを加熱処理なしに口に入れないようにしましょう。

B型肝炎ウイルス(HBV)
血液、医療行為、母子感染、セックスが主な感染経路です。急性の感染では上記のA型とほとんど同じ症状です。黄疸が出るときは、尿の色が濃くなります。大人の感染者の約5%、母子感染や3歳以下の感染者の約10~15%が慢性肝炎になります。放置するとゆっくりと肝硬変に進行し、最終的には肝臓がんを発症します。

肝硬変とは、肝臓の細胞が繊維化し、肝臓の働きを担っている肝小葉が破壊され、硬いこぶ状になった状態です。肝硬変になると、全身が不調に陥り、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを誘発します。

慢性化した場合、ウイルスの活動を抑える「インターフェロン」や、ウイルスの増殖を抑える「ラミブジン」という薬を使用します。医療従事者はワクチン接種による感染予防が大切です。

C型肝炎ウイルス(HCV)
急性感染ではA型、B型とほとんど同じ症状ですが、非常に軽いので気が付かない人もいます。黄疸が出ることも少ないです。徐々に発病するケースでは、倦怠感を訴える人もいますが、多くは無症状です。感染した年齢に関係なく、HCV感染者の約70%はキャリアになり、その後、60~70%の人が慢性肝炎になります。一部は肝硬変、肝臓がんに進行します。

慢性化したC型肝炎の治療は、「インターフェロン」と抗ウイルス剤「リバビリン」を併用するのが一般的です。免疫機能で多くの役割を担っているインターフェロンは本来体内で作られているのですが、それを補おうことでウイルスを排除して、肝炎を抑えようというわけです。ただし、ウイルスの遺伝子型によって、効き方が異なるという欠点があります。リバビリンとの併用で強い効果が期待できますが、その分副作用も強くなります。